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アピアランスの落とし穴
製版の萩原です。よろしくお願いします。
圧着はがき・DMなどの入稿データで、ここ数年多用されるようになったイラストレータの機能に「アピアランス」があります。
アピアランスとは大雑把にいえば文字や図形の見た目を変える機能です。中でも最も多く使われるのが白フチのように文字の周りに線を追加する機能です。
以前の白フチは文字を二つ重ねて作っていましたので、文字修正などがあるたびに重なった全ての文字を修正しなければなりませんでしたが、アピアランスを使えばフチが何重になっていても全てのフチを含めて一度に修正できるので非常に楽になりました。
その一方で製版泣かせの一面もあります。
それが過去にもお話しさせて頂いているオーバープリントです。
アピアランスで文字にフチを付ける方法は主にふたつ。
ひとつは文字の下に新規の線を追加する方法。もうひとつは文字の上に新規の線、更にその上に新規の塗りを重ねる方法(この場合は一番上に重ねた塗りが文字の色になる)。
どちらもレイヤーと同様に文字を層にして重ねる事で文字の周りにフチを付けます。
そして、どちらの場合も問題になるのが、塗りや線に使用されているK(ブラック)100%です。
特にレイヤーの一番上の塗りがK100%の場合はオーバープリントの影響を受けやすいので注意が必要です。
図の左「圧着ハガキ」の文字はオーバープリントの影響を受け、フチと同じ太さの分だけは文字の内側がK100%になっていますが、その更に内側は背景の色が透けてしまっています。
図の右「圧着はがき」の文字は背景が透けずに文字が全てK100%になっています。
私たちが理想としているのは「圧着はがき」の方の仕上がりです。
ではこのふたつの違いは何かというと、「圧着ハガキ」の方はアピアランスで新規の線のみを白で追加し、「圧着はがき」の方は新規の線だけでなく新規の塗りも同じく白で加えている事です。こうすることでオーバープリントの影響を受けないで済みます。
また、オーバープリントが適用されるのはK100%ですので、「K100%+C1%」や「K100%+C20%+M20%+Y20%」のように、ブラックに他の色をプラスする事でも防ぐ事ができます。
特にタイトル等の大きな文字は目立ちやすいので、より美しい仕上がりの為に参考にして頂けたらと思います。