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広告表現には法律で禁止されたものがある|要注意の表現を解説

広告を作る際には、消費者の認知度拡大や集客を重視して表現を行います。そのため、インパクトのある表現やコピーを利用して、少しでも多くの方に魅力を感じてもらおうとする方も多いでしょう。しかし、広告表現が大げさになったり、欠点を隠すようなものになったりすると、法律に違反する恐れがあります。広告を担当している方は、自社の広告が法的に問題ないかどうか、表現に注意が必要です。

この記事では広告表現を規制する景表法のルールや、使用してはいけない表現、要注意の表現、および特に表現に注意すべき業界について解説します。

 

1.【要注意】広告表現を規制する法律とは

広告を出稿するときは、表現に関するさまざまな規制を意識する必要があります。複数存在する広告表現に対する規制の中でも、特に注意すべき法律が景表法です。

景表法は景品表示法とも呼び、事業者による不当な表示や広告を規制するための法律です。下記の通り、消費者保護を目的としています。

第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

引用:e-gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」引用日2023/6/13

景表法は広告や表示内容のみならず、景品の提供に関しても制限を設けています。正しく表記された広告や提供される景品を参考に、消費者が合理的に商品・サービスを吟味できるようにするための法律です。

 

2.広告に使用してはいけない表現

景表法を遵守するためには、事業者は「使用してはいけない表現」をあらかじめ理解しておくことが大切です。広告に使用してはいけない表現は、性質的に大きく3つの種類に分けられます。

 

2-1.優良誤認表示

多くの消費者が、より優れた商品・サービスを求めています。正しく比較検討するためには、優良誤認表示の規制が必要です。

優良誤認表示とは、「他社の類似商品・サービスよりも優れている」「実際よりも著しく優良である」と消費者に誤認させるような表記方法のことを指します。優良誤認表示が行われると、消費者による正しい商品・サービスの選択や、競合同士の競争を阻害する恐れがあります。

優良誤認表示として禁止されている表現の例は、下記の通りです。

優良誤認表示の例 優良誤認表示となる理由・実態
国産原料100%使用 一部に外国産原料を使用している
当社独自開発のシステム 業界で浸透している他社開発のシステム
除菌率99% 実際は90%程度の除菌率

ほかにも、消費者が競合や実際の商品・サービスよりも優良と誤認しやすい表示は、法律違反と判断される場合があります。仮に表示内容や数値が事実であったとしても、消費者庁から事実確認を求められた場合、根拠や資料を提出できなければ優良誤認表示とみなされます。

 

2-2.有利誤認表示

優良誤認表示と混同されやすい規制が、有利誤認表示です。優良誤認表示とは、主に商品・サービスそのものが優良であるかのように思わせる内容です。一方の有利誤認表示は、消費者側に価格面など取引条件でメリットがあるように思わせる内容となっています。

たとえば下記の例は、優良誤認表示ではなく有利誤認表示にあたります。

有利誤認表示の例 優良誤認表示となる理由・実態
定価の半額 実際は45%引きで半額とは言えない
ワンコインで体験 ワンコインに手数料など別途料金が加算された
業界最安値で提供 競合A社やB社のほうが安い

取引条件には、上記のような価格面の他にアフターサービスや数量、支払い条件なども含まれます。「1年に1回アフターメンテナンスを行います」と表示している場合、まったくサービスが実施されなければ有利誤認表示です。

 

2-3.そのほかの誤認される恐れのある表示

優良誤認表示や有利誤認表示とは言えない内容であっても、書き方によっては消費者の合理的な判断を阻害するケースがあります。「そのほかの誤認される恐れのある表示」として、内閣総理大臣によって下記の6つに個別のルールが定められています。

  • 無果汁の清涼飲料水などについての表示
  • 商品の原産国に関する不当な表示
  • 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
  • 不動産のおとり広告に関する表示
  • おとり広告に関する表示
  • 有料老人ホームに関する不当な表示

出典:消費者庁「事例でわかる景品表示法」

消費者金融・不動産・老人ホームなど不当表示の影響が大きい商品は、厳しく規制されています。また、原産国や果汁の含有率についての不当表示や、おとり広告など、消費者が選択に使う情報を適切に提供しないことも、不当表示にあたります。

 

3.広告に使用するときに注意すべき表現の例

広告は、認知度拡大や集客につながる効果的な手段の1つです。少しでも自社商品・サービスを魅力的に見せようと表現にこだわること自体は、問題ありません。しかし、表示内容を大げさにすると優良誤認表示や有利誤認表示とみなされる恐れがあるため、文言は慎重に検討するのが大切です。

広告に使用するときに特に注意したい表現方法を、3つ解説します。

 

3-1.最上級表現

数ある競合商品・サービスの中で、あるいは業界全体の中で自社商品が特に優れていると思わせる書き方が、最上級表現です。たとえば前述の有利誤認表示の1つ、「業界最安値で提供」も最上級表現にあたります。

ほかにも下記の通り、最上級表現は多くあげられます。

  • No.1
  • 最上級
  • 最高級
  • 国内一
  • 世界一
  • 最小

柔らかい表記内容に変えたとしても、意味が同じであれば最上級表現と言えます。「業界最安値」を「どこよりも安い」と書き方を変えても、内容に違いはありません。

最上級表現は、優良誤認表示あるいは有利誤認表示となりやすいため注意しましょう。広告に使用する場合は、根拠となる客観的事実やデータが必要です。アンケート結果や第三者機関による実験結果など、根拠となる資料を提示すると誤認を避けられます。

 

3-2.打消し表示

打ち消し表示とは、商品のメリットなどを強調する表現を使う一方で、メリットを打ち消したり、例外を示したりする言葉を同時に掲載する表現です。例を挙げると、「店内全品半額(※一部商品除く)」や「今だけ入会金無料(※2年以上の会員契約をした方に限る)」などは打ち消し表示です。また、体験談などの「※個人の感想です」「※効能には個人差があります」なども打ち消し表示に含まれます。

キャッチーな文言で消費者を誘引するために、メリットなどを強く打ち出す表現を使用することは問題ありません。ただし、一般消費者が打ち消し表示の内容を正しく認識できないと判断された場合、優良誤認とみなされる可能性があります。文字が8ポイント以下と極端に小さい、背景に溶け込むような色遣いをしている、などの場合は要注意です。打ち消し表示を行うときには、必ず読者が手に取って読みやすく、理解しやすい色やフォントサイズ、内容で行う必要があります。

また、実際の効果効能と異なる内容を含んだ強調表示を行い、打ち消し表示で「※効果には一部例外があります」などの形で補足するといった書き方はNGです。打ち消し表示の内容が強調表示と矛盾したり、分かりづらい言い回しになっていたりしないかは必ずチェックしましょう。

 

3-3.比較表現

比較表現とは、「A社・B社・C社・自社」で比較して自社の優位性をアピールする表現です。

料金プランや商品・サービスの質をアピールするとき、比較表現を活用すると消費者に伝わりやすくなります。ただし、安易に使用すると優良誤認表示や有利誤認表示とみなされるため、注意が必要です。

比較広告に限らず、情報を記載するときは調査機関名や実施期間、範囲、実証方法なども適切に開示することが求められます。比較内容を実証するデータを併記して、消費者の誤認を予防しましょう。

 

4.特に広告表現に注意すべき業界

広告表現への配慮は、さまざまな商品・サービスで必要です。中でも化粧品・健康食品・サプリメント業界や不動産業界は、特に注意しましょう。

消費者がなんらかの効果を求めて購入する化粧品・健康食品・サプリメントは、薬機法によっても広告表現に厳しい制限が定められています。承認された効能効果以外の表示は薬機法違反となる上、商品によっては「痩せる」など直接的な表現も避けなくてはなりません。特に化粧品は、医薬品や医療機器とともに医薬品等適正広告基準の規制対象とされており、表現内容には慎重な判断が必要です。

不動産業界も、過去におとり広告が頻発したことにより、内閣総理大臣によって表現のルールが定められています。存在しない物件情報を広告に掲載したり、実際とは異なる条件を記載したりするのは不当広告にあたります。

いずれの業界も、景表法にもとづいて正しく表示するためには、「大げさに書かない」「嘘は書かない」「根拠を明記する」と意識することが大切です。業界によっては政府のガイドラインとは別に、共通の広告ルールや独自基準が設けられている場合もあります。

他部署の従業員に広告を見せて、誤認しやすい書き方や違反表現はないか消費者目線でチェックしてもらうのもよいでしょう。

 

まとめ

広告表現を行う際には、景表法に違反しない表現かどうかを確認することが大切です。広告が実際より商品が優良であると思わせる「優良誤認表示」、消費者にとって価格面などで商品が優れていると思わせる「有利誤認表示」になっていないか注意しましょう。特に問題になりやすい表現には、「No.1」などの最上級表現や、「※個人の感想です」などの打ち消し表現、「他社と比較して優れている」などの比較表現があります。

また、化粧品や医薬品、サプリメントなどを取り扱う広告では景表法にくわえ、薬機法に抵触しないかも確認が必要です。不動産を取り扱う場合も、広告の内容が「おとり広告」になっていないかチェックし、消費者が適切に判断できる広告を作りましょう。

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